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聖書再解釈①エデンの園やノアの洪水はホントにあった?! [Archives]

多くの読者はお気づきと思うが、ここまで俺は再三にわたって
『聖書』に出てくる神様はやる事なす事デタラメだとあげつらってきた。

    

問題はギネスブックで「世界最大のベストセラー」と認定される
この聖書の記述を「ファンダメンタリスト(原理主義者)」どもが
神の絶対的なお言葉だと「文字通り」解釈しちまう事にある。

たとえば「神様が7日でこの世界を作った」って事になってるから
アメリカじゃ授業で「進化論」がまともに教えられなかったりもする
って事は前にも説明した。
「聖書なんて所詮は昔話なんだからアホかよ!」みたいな。

にもかかわらずだ。ここへ来て
「エデンの園やノアの洪水は“ホント”にあった!」
…と、敢えて『ムー』の読者みたいなコトを言ってみる。

もっとも仮説の域は出ないのだが、こともあろうに
聖書を一字一句忠実に信じたがる原理主義者どもが
毛嫌いする「進化論」的観点からそれを主張する本がある。

農業は人類の原罪である

農業は人類の原罪である

  • 作者: コリン・タッジ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/10/17
  • メディア: 単行本

コリン・ダッジの『農業は人類の原罪である』
(Colin Tudge"Neanderthal, Bandits And Farmers")

『原罪』って言葉が既に日本人には耳慣れない。
問題は大半の人間がまともに聖書を読んでないコトにある。
そんなワケで『創世記』をかいつまんで説明する。

①まず神様が7日間でこの世を作った。
 正確には6日で天と地とか動植物作って7日目がoff。
 これが「日曜日」の由来だ。

②次にエデンの園に最初の人類「アダムとイブ」を作る。

    

 この楽園で2人は働きもせずノンキに暮らしてたのだが
 神様に「食うな」と言われてた木の実をイブが食っちまう。
 これがいわゆる「人間の原罪」ってヤツだ。

 ちなみに聖書の記述は「木の実」で、「リンゴ」だとは
 一言も書いてない。裸の2人が恥ずかしくなって体を
 隠したのが「イチジクの葉」だとは書いてあるけど。

 で、神様はこれに激怒。
 「オマエらは顔に汗して働いて食糧を手に入れるのだ!」
 と2人を『エデンの園』から追い出す。

③追い出されたアダムとイブはまず子供を2人作る。
 長男のカインは農業をはじめて
 次男のアベルは羊飼いになる。

 ところが…兄弟2人が神様に捧げ物をするコトになって
 カインは農作物、アベルは羊を捧げたのだが
 神様は羊だけ気に入って農作物は見向きもしなかった。
 兄カインは腹が立って弟アベルを殺す。
 人類史上最初の「殺人事件」だ。

 その後、アダムはもう1人子供作って「930年生きた」
 ってコトになってる。その子供セツが「807年生きて」
 …とか延々系譜が書き連ねられて、やっとノアが登場。

    

④この頃になると人間も相当増えてるのだが
 ノア以外はどいつもこいつも堕落した生活を送ってた。
 だから神はノア以外は洪水で皆殺しにするコトにする。
 これが『ノアの箱船』の伝説だ。

これを「文字通り」信じるのはどう見てもアホだ。
だってこの手の神話は語り部が文字の無い時代
から口述で数千年間も受けついできたモノだから
語り伝えられるうちにストーリーの順番が変わったり
内容が極度に誇張されたりする。

例えば「アダムは930年生きた」ってなってるけど
古代の部族ってのは、今の歌舞伎役者みたいに
部族の長の名前を継ぐコトが名誉だったハズだ。

恐らく20〜30代ぐらい「アダム」が襲名された後
次に何か革新的なコトをやった人間が尊敬されて
そいつの名前が襲名されたんだろう。

でも一方でこれが全くの「作り話」だったとしたら
なぜ昔の人間は必死に暗記までしてこんな話を
何千年も伝えてきたのか?
もしかしたらエピソードの幾つかは歴史的事実に
基づいてたりするんじゃねーか?

そこで進化論的見地から最新の考古学の知識
など交えて人類創世記の歴史を検証したのが
『農業が人類の原罪である』だ。

でもって、なぜ農業が人類の『原罪』なのか?

考古学的に、農業を始めた頃の人類の骨は
腰が変形し、爪先や膝も曲がって関節炎を
起こしてるという。
狩猟採取で暮らしてた人類にはない特徴だ。

それまで必要な時だけ獲物を狩ったり木の実を取って
「楽園で働かずノンキに暮らしてた」狩猟採取民がなぜ
「オマエらは顔に汗して働いて食糧を手に入れるのだ!」
とばかりに、突然過酷な農作業を強いられたのか?

多分そこに、昔の人間が「神の天罰だ」と震え上がった
ような大変化があったに違いねえってワケだ。
じゃあその大変化って一体何なんだ?

現在判ってる考古学的証拠から見ると、人類が農業を
始めたのはだいたい1万年前だとされてる。
実はこれと並行してとんでもない大変化が起きてる。
「氷河期の終わり」だ。

デイ・アフター・トゥモロー

デイ・アフター・トゥモロー

  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • 発売日: 2005/03/16
  • メディア: DVD

この映画みてえな氷河期が終わったって言うと
「あったかくなってよかったね」みたいに思いがち。

でも実は氷河期の頃は、場所によっては今よりも
海面が200メートルも低かったコトが判ってる。
とてつもない量の水が氷河の形で陸地に残ってた。
氷河期が終わってこれが溶け出したらどうなるか?

氷河期末期の人類は比較的温暖な場所
(多分氷河から離れた低地)を見つけて
木の実を取ったり狩りをしながらノンキに
暮らしてた。そこに突然洪水が襲ってきたのだ。

中には運良く逃げ延びた人間もいたんだろう。
多分避難先で「ここも洪水でヤバイかも!」
とか親切心で教えたりもしたんだろうけど
その土地の人間はまさかそれが現実になる
とは思いも寄らない。

かくしてその場所でも洪水が起こると
生き延びたヤツは多分こう思う。
「神の予言に聞く耳を持たなかった天罰だ!」
これが洪水と予言者ノアの伝説の由来だ。

そー言えば同じメソポタミア文明のギルガメッシュ
叙事詩なんかにも洪水伝説は記されてる。
プラトンが書いた『アトランティス大陸』やら、
『ムー大陸』の水没なんてのも洪水って歴史的
事実が形を変えて伝わったものなんじゃねーの?

こう考えると、失われた「エデンの園」ってのは
多分今は海中に没してるペルシャ湾一帯だ。
かつてはそこで狩りをしたり木の実を取ったりして
ノンキに暮らしてた人間は高地に逃げ延びて
「顔に汗して」農作業をやらなきゃならなくなった。
腰が曲がったり、ひどい関節痛に悩まされるほど。
これが「楽園追放と原罪」の由来ってとこかな?

ちなみに作者はさらに論を進めて
「農民のカインが羊飼いの弟アベルを殺した」
って伝説を、農業を始めた「クロマニヨン人」が
狩猟採取しかできない「ネアンデルタール人」を
絶滅させたって歴史的事実の名残じゃねーか
なんて話もしてるのだが、その辺りは考古学的
裏付けは取れず定かじゃないみたい。

ともあれ人類の祖先は農業をやるようになって
文明の発展につながるワケだけど、ある意味、
作者がこの人類の農耕文明の始まりを「原罪」
だと指摘したのは鋭い。

農業は狩猟採取と違って確実かつ大量に食糧
が手に入るから、人口が爆発的に増える。
だからさらに農地を拡大して大規模な農業生産
を続けていかなきゃならなくなる。

こうして人類はウィルスみたいに増えていって
歯止めが利かなくなっちまった。
そしてそれが今の資本主義経済まで続いてる。
多分人類は滅びるまで拡大を続けるんだろう。

こんな感じで改めて再解釈されると
聖書もそれなりに面白い。
古代の文献をそのまんな「文字通り」解釈する
からバカな誤解が絶えないだけなのだ。

というコトで以後もぼちぼち、この聖書再解釈
シリーズを続けていこうかなと。
ちなみに次回は『バベルの塔』の伝説を予定
しているが、あくまでも予定は未定。


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